「四畳半タイムマシンブルース」の感想

はじめに

文庫版が出るのを待っているうちにアニメ化が発表されてしまったのでハードカバーを買って読んだ。電子版で読めば良いのでは?と言われそうだが、好きな作家の本は紙で買うことにしているので仕方がない。

森見登美彦の作品はほとんど全て読んでいると思う。森見登美彦の書く文章はめんどくさいオタクっぽくて非常に好きである。

 

感想

本作は「四畳半」と冠しているように「四畳半神話大系」に連なる物語であった。「四畳半」の物語では、毎回同じ人物が登場するが、さまざまなルートを経て「成就した恋ほど語るに値しないものはない。」という決まり文句で締めくくられる。本作も例に漏れずにそのような作りとなっていた。

四畳半神話大系」の時間解釈は、多世界解釈というよりもドラえもん的(用語がありそうだが軽く調べても見当たらない。ある結末が決まっているがそこに至るルートは無数にあるという)解釈である。そういった物語の作りになっていることからも「四畳半神話大系」はSFだと思う。「SF」というとSFヤクザにからまれそうな気がするが、自分はそう思うんだから仕方がない。

ただでさえ、SFなのにその中でタイムマシンが登場するのが本作である。作中ではタイムマシン関係のパラドクスをめぐって理屈をこねくり回しまくっており、森見登美彦感満載であった。自分が理系のオタクだからか、理系のオタクが理屈をこねくり回す描写が好きである。

上でちょっと出てきたが、本作はそこかしこにドラえもんのオマージュがあったように思う。例えば、城ヶ崎の河童はドラえもんずの物語で似たようなのがあったし、のびすけ的なキャラも登場する。やはりタイムマシンといったらドラえもんなのだろう。

ドラえもんとかシュタゲののようなアニメやゲームでタイムリープものに慣れ親しんでいるので、読んでいて次の展開が予想できる場面が多かった。私としては本作は「予想外の展開」で面白いというよりも「予想通り」の展開で楽しむことができた。

 

最後に

アニメ化が楽しみで仕方がない。